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わたしの残したい志木の風景

絵・文 松本恭子

心の伝承「たけのこ文庫」

 

 夏休み最後の土曜日、柳瀬川図書館で人形劇「ぐりとぐらの海水浴」が上演され、親の膝に抱かれる幼な子をはじめ、子供らがたくさん集まった。

 指人形のぐりとぐらの動きがかわいく、せりふとも息がぴったり合い、さすがの出来。もう一人の登場人物の少年は絵を形取ったもので、幾通 りかの表情、動作の違う絵型が、これもせりふ、場面に合わせてすばやく入れ替わる。海の波の変化は布を上手に利用、ライトの効果 も物語を盛り上げて、会員10名の結束が随所に感じられた。しゃれたアイデア、気負いのない演出に、見終わった後、子供も大人もほのぼのとした気持ちよさが残る。

 この会が活動を始めてから15年になる。ニュータウンの街の誕生と同時に始まり、図書の貸し出し、本の読み聞かせ、演劇観賞会、講演会、昔の遊びを楽しむ会、そして人形劇。現在も継続されている活動は限られてきたけれど、“楽しいことを伝えたい”との主旨は変わらない。それは大人になってしまった私たちが、子供の時の楽しかった時間を忘れてしまわないためでもあろう。

 志木には身近な地域の中で、“子供たちに本を”と活動を始めた文庫が幾つかあり、子供たちの恰好の遊び場でもあった。この『たけのこ文庫』で育った一期生も成人を迎える時期となる。自然を守り伝えることと同様に、これらの“心の伝承”も是非大切にしたいと思う。

(エコシティ志木通信第9号 1997年11月)

 

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