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わたしの残したい志木の風景

絵・文 松本恭子

土に親しむ「市民農園」

 

 志木市が高齢化社会に向けて、市内の休耕地を市民農園として開放してから丸9年を迎えようとしている。1区画約15Fを1年間利用、60歳以上優先、残りは希望者で抽選、という形でスタートし、その後、2年間利用となり、当初の44区画が現在では527区画までに拡がった。市民の関心は年々高まっている。四季折々の野菜、草花を土ごしらえから始め、苦心して育て上げ収穫を迎えた時の喜びを思うと、人気の高まりは当然のことだろう。

 私は志木市でこの制度が始まった直後に、ドイツの市民農園=クラインガルデンを見学する機会を得た。利用者は都市のアパートに住む市民がほとんどで、農園は家族で週末を過ごしたり、夫婦で老後の生活を一緒に過ごす場所となっている。そこは、菜園というよりは庭園であり、街の緑地、景観の一部であるため、利用期間に制限はなく、1区画面 積は300F以上と広い。比較にならないが、高齢化社会に向けての取り組みであることは一致している。

 市民農園開設に尽力された松本ちさえさん(83歳)は、『老いはすべての人に訪れる通 過点であり、ボケないためにも土に親しみ、友だちとの交流の場としての市民農園をつくりたかったの』と、当時の市役所への働きかけのいきさつを、夕暮れ時の市民農園で草取りをしながら語って下さった。わが街の市民農園は、市役所の創意と、松本さんの熱意の産物である。

(エコシティ志木通信第8号 1997年8月)

 

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