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わたしの残したい志木の風景

絵・文 松本恭子

五月 柳瀬川流域の生きものたち

 

 富士見橋より下流に向かって、柳瀬川の左岸一帯に広がる田は、富士見市にあって、志木市民にとっても恰好の自然動植物園となっている。五月、黒土より萌出て競うように花を咲かせる田の畦の主役は、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、オオジシバリ、レンゲソウ、オオイヌノフグリ……。しゃがみこんで両手を広げた範囲だけでも、じっくり眺めればざっと数十種の草花が輝きあふれている。

 この日は、「柳瀬川の自然を考える会」の自然観察会に参加した。葉っぱの付き方に違いのあること、花の咲く順序に個々の特色のあること、花の形に進化の違いのあること、下眼線のある方がアマガエル、無いのがアオガエル、『鳴かずば撃たれまいに』と言われても縄張りの誇示に、“ケーン、ケーン”と立派な姿を現わしたキジ、“ギョギョシ、ギョギョシ”とさえずる嘴の中はあざやかな真紅のオオヨシキリ、野のルビーとまで謳われるベニシジミ……、歩く度に発見が続く。五月の野は、まことに生命の息吹にあふれていた。渡来する鳥たち、生息する虫たち、芽吹く草花、限りある私達の営み、いつまでも共存していきたいと思う。

(エコシティ志木通信第7号 1997年5月)

 

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