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柳瀬川の自然エリアのお宝

 
河川敷の植物「春の色彩」
〈柳瀬川駅周辺〉

田村 キミヱ
(2006年6月1日 (財)埼玉県生態系保護協会会員)

ハナウド

↑ハナウド

 早春の色

 柳瀬川の早春は、小さな花で始まる。
 他の草が伸びてくる前に、白い小さな花のナズナ、タネツケバナ、青色のオオイヌノフグリ、赤紫のホトケノザ、ピンクのヒメオドリコソウなどが少しずつ咲き出す。土手の桜が終わる頃には、冬にカモの餌になったイネ科の草丈も伸び、セイヨウカラシナも花穂を伸ばす。今年は特にセイヨウカラシナが多く、緑の河原を黄色の花で染めてきれいでした。

 春本番の色

 春本番が感じられるのは、地面に這って咲くヘビイチゴ(黄花)やムラサキサギゴケ、カタバミ(黄)、ハコベ(白)、カラスノエンドウ(赤紫)などと、花穂を立てて咲かせるオオカワヂシャ(紫色のすじ)、ショカッサイ(紫)、カキネガラシ(小さな黄花)、最近増えているヘラオオバコ、ハルジオン(白とピンク)、ハルノノゲシ(黄)、ナガミヒナゲシ(橙)、河原には少ないセイヨウタンポポ、オニタビラコ(小さい黄花)などでにぎやかになる頃です。
 その頃にはイネ科のカラスムギの穂が下がり、風にゆれ、イヌムギ、ネズミムギも緑色の穂をつけます。数は少ないが、カモガヤ、ヒロハウシノケグサ、カモジグサ(のぎが紫色)、湿っている所にはチガヤの筆のような穂があり、乾いている所では、スズメノカタビラが小さな穂を出す。後から最近増えているイチゴツナギも細かい花と実をつける。カヤツリグサ科では、ヤワラスゲ、マスクサ、アオスゲ、ミコシガヤなどが株立ちになり、緑の細い葉とコロッとした実で眼を楽しませてくれます。

 水辺の色

 水辺ではオランダガラシ(クレソン)が白い花を咲かせ、石の多い河原ではアカバナユウゲショウ、コマツヨイグサ(黄)、アメリカフウロ(ピンク)、オランダミミナグサ(白)、シロツメクサやムラサキツメクサ、湿っている所にはケキツネノボタン(黄)、土手の斜面 では背の高いハナウド(白い小花の集合花)が目立ち、ギシギシ類も伸びて花や実をつけ、ヤブジラミも小さい白い花を咲かせ、すぐにシラミのような実(毛で衣類や動物の毛につく)をつける。
  早く種を飛ばさないと、土手と河原のほとんどは刈られてしまいますが、川に近いところは、小動物や虫のため刈り残されます。

 消えた色 新しい色

 最近見られなくなった植物は、ミゾコウジュ、ヤセウツボ、タコノアシなどで、どこかの河原で咲いているかもしれません。この辺りでも別 の植物が見つかる可能性があります。最近では、トウダイグサ、イヌカキネガラシ、イヌカミツレなどが見つかりました。今後も楽しみです。


ヘラオオバコ カラスノエンドウ セイヨウカラシナ

ヘラオオバコ

カラスノエンドウ

セイヨウカラシナ


写真提供=山崎光久

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